(伝統さん・若年寄りさん)
この方は、「行け行けさん」に似ていますが、「行け行けさん」はD(自由気ままな子供)が高かったが、「伝統さん」は低い点が違います。
このパターンの方も、仕事はよくできます。A(きびしい親)が高いから部下を指導できる。B(優しい親)がさらに高いから部下がついてくる。C(合理性)が高いからいくつもの仕事を同時にこなせます。
しかし、D(自由気ままな子供)もE(人の評価を気にする子供)も両方とも低いのです。子供の部分がなくて、社会性と合理性で生きていることになります。子供の部分は本音でもありますので、本音がなくて建前だけで生きているということにもなります。
どういう方が多いかと言いますと、伝統や権威や規律を守らないといけない人です。事業を拡大するよりも現状を維持する方、あるいは事業は精力的に拡大するが、その内容は新しいもの、創造的なものよりも伝統の枠内、既成のものだという方です。
あるいは、厳格な規律を人に教えなければならない方です。新しいことをするにはD(自由気ままな子供)がいります。創造的なことは苦手な方。そこでこのタイプを「伝統さん」と言います。また、若い方では、年寄りじみた言い方が多いので「若年寄さん」と言います。
A(きびしい親)よりB(優しい親)が高いのは「優しい伝統さん」。B(優しい親)より
A(きびしい親)のほうが高ければ「厳しい伝統さん」です。
このパターンの方は、普段でも羽織、袴を着ているようで非常に重々しいですね。伝統や権威の固まりです。子供の部分はないから、冗談なんか言える雰囲気ではない。妙なことを言えば、何かこちらがすごく悪いことをした子供のような気持になってしまう。畏縮しそうです。床の間にどんと座っているに適した方です。
{自滅のシナリオ}
多くの方を見ていますと、(不安さん)から「伝統さん」になったという方が多いようです。この不安を解決するために、強いもの、強力なもの、安心できるもの、長く続いて権威のあるものなどと一体化する。一体化に成功しなかった場合は、「伝統さん」にはなれません。
「ボロぞうきんさん」、「バラバラさん」、「不安さん」のように不安が生々しく感じられるタイプのままでしょう。だから、守るべきものがなくなるときは、(不安)が噴き出てきます。
自分を伝統や権威や規律に同化することによって、充実感や自分を生きているという実感を感じてきた人です。定年や引退、子供達の巣立ち、守るものがなくなれば、自分を生きているという実感もなくなります。自分が何者か分からなくなります。
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